2024/12/11
参加人数10,000名を超える
大型学会運営への対策
規模拡大と新たな課題に挑む――「第34回日本医療薬学会年会」の運営戦略と対応策
学会名 | 第34回日本医療薬学会年会 |
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会 期 | 2024年11月2日(土)~4日(月・祝) |
会 場 | 幕張メッセ 国際会議場・展示場/TKP東京ベイ幕張ホール |
参加人数 | 10,000名 |
2024年11月2日(土)から4日(月・祝)の3日間にわたり、「第34回日本医療薬学会年会」が幕張メッセ 国際会議場・展示場およびTKP東京ベイ幕張ホールにて開催されました。JTBコミュニケーションデザイン(JCD)は、本会の全体的な運営を担当しました。
日本医療薬学会年会は、同じ会場で7年前の2017年に第27回年会としても開催され、その際には約9,300名が参加し、会場は参加者であふれるほどの混雑となりました。近年では参加者数が10,000名を超える規模にまで拡大していることから、今回はその対応するための様々な工夫と対策を講じた結果、盛況のうちに無事終了しました。
ここ最近の日本医療薬学会の状況
日本医療薬学会年会は、2019年までは現地のみの開催で、参加者数は8,500〜9,000名でした。しかし、2020年以降、コロナウイルスの感染拡大に伴い、WEB開催やハイブリッド開催が導入され、参加者数は10,000名を超える規模に拡大しています。一方で学会運営に必要な企業からの協賛が減少傾向にあり、規模の拡大やその他対応費用に対する損益分岐点を見極めるのが非常に難しくなっています。
今回の開催形式と対応の難しさ
7年前の第27回年会では、現地開催で講演会場に約5,500席を用意しましたが、どの会場も人であふれ、大混雑し、身動きが取れない状況でした。受付やクロークでも長蛇の列ができ、参加者に不便をかけてしまいました。そのため、全体規模を縮小したくないという思いはありましたが、ここ数年のハイブリッド開催の状況を踏まえると、現地参加者はそれほど多くないかもしれません。規模の拡大には、ハイブリッド開催にかかる費用も含め、多額の支出が必要です。
また、今年度から導入された新たな日本病院薬剤師会の単位登録形式の変更に伴う対応も求められました。このような課題を踏まえ、私たちが考えた対策とは……
これまでの情報分析、事前の情報収取からの決断
まず、私たちはこれまでの開催情報を細かく分析し、今回の参加者の意向を把握することから始めました。
具体的には、以下の分析を行いました。
- 過去の参加登録人数に基づく現地参加者の割合の分析
- 講演会場の収容人数に関する分析
- オンライン配信におけるアクセス数の分析
- 1日あたりの現地登録手続き人数の分析
- 参加登録時のアンケート調査
これらの情報分析と調査結果に基づき、導き出した提案は、会場配置とWEB配信における工夫でした。
実施した内容は以下の通りです。
- 現地参加人数を全体参加者の60%に設定し、施設や会場席数を削減
- ライブ配信を1会場で実施し、現地参加の臨場感を提供
- オンデマンド配信の期間を当初よりも長く設定
- 朝夕の混雑緩和のため、受付窓口を変更し、分散化
- 誘導員の配置計画の工夫
- WEB抄録を積極的にPRし、プログラム集は現地参加希望者にのみ配布
- 現地とWEB参加兼用の新しい規定に基づく日病薬単位申請システムの構築
学会当日を迎えて
初日は天候不良で新幹線や飛行機が運休するなどの不測の事態が発生しましたが、事前に参加者に告知し、対策を講じていたため、会場が定員を超えるプログラムもあったものの、受付やクロークの混雑もなく、現地・WEB参加を合わせて10,000名の参加者を無事迎えることができました。早期の段階から年会長とともに、あらゆる方向性を模索し、その対策を何度も練り直したことが功を奏したと感じています。
協力
- 第34回日本医療薬学会年会 年会長 本間 真人(筑波大学附属病院教授・薬剤部長)
- 株式会社幕張メッセ