テルで味わう贅沢やおもてなしを
損なわない環境配慮

2015年、国連でSDGs「持続可能な開発目標」が採択され、地球温暖化が世界的に問題視されはじめたのをきっかけに、廃油のリサイクルや燃料化、客室リネンの交換制度(リネンやタオル交換は希望者のみ)の導入など、早くから環境への取り組みを始めていたJR西日本ホテルズ。「希望がなければリネンを交換しない、とうのはグランヴィアクラスのホテルではかなり思い切った取り組みでした。当時は先進性があり斬新な施策だったのですが、一方で自己満足に近く、お客さまの理解もそこまでは得られませんでした。」と話すのは、JR西日本ホテルズのカンパニー統括本部 出口 聰営業戦略部長。まだ時代が追い付いていなかったと振り返ります。グローバル化が進みSDGsが一般社会に受け入れられその重要性が認識されるようになった昨今、人々の意識は大きく変わり、ビジネスの指針として環境への取り組みを積極的に行う企業も増えています。同ホテルズも、もともと自分たちが環境配慮に力を入れていたことに立ち返り、アメニティ類のバイオマス化によるプラスチック製品の削減、リネン交換制度、ディスペンサーボトルの導入、食品ゴミの再利用などさまざまな施策を取り入れています。

「ホテルの難しいところは、アメニティやリネンの制限が、環境配慮への取り組みではなく単なる経費削減に見られてしまうこと。お客さまにとってホテルは非日常を楽しむ場所です。日頃味わうことのない贅沢やおもてなしは、旅の楽しみの1つ。そうしたお客さまの満足度をキープしつつ環境配慮に貢献できること、かつ、ビジネスとしてホテルの利益にもなる施策はないだろうか、と模索していました。」と語る出口部長。CO₂ゼロMICE®をすでに導入していたものの、ご自身は「環境配慮には疎い方」で、CO₂ゼロSTAY®の導入にどのような反響・効果が期待できるかは未知数だったそうです。

CO₂ゼロSTAYの導入で見えた、
驚異的な数字が語る世間のニーズ

CO₂ゼロSTAY®を導入したのは折しもコロナ禍。先のインバウンドも意識しての導入でしたが、反響は予想以上で、出口部長はそのすごさに驚き「目が覚めた」といいます。

「導入発表直後から各方面から取材が入り、お客さまからも期待以上の予約をいただきました。環境への取り組みは、10年前はホテル側がやるべきことでしたが、今はお客さまから求められること。お客さまの意識の高まりを実感しました。」

ホテルグランヴィア大阪のCO₂ゼロSTAY®プラン利用数は、何と月400件。このプランだけで1日10室以上の利用、売上を計上しています。「他にもお得なプランが多数ある中でこのプランを選択するということは、お客さま自身の環境意識の高さ、何か環境に貢献できることはないかと考えているからこそ」と出口部長は分析します。「CO₂ゼロSTAY®は、環境対策に課題感はあるものの、自分にできる具体策が見つからないお客さまの背中を押す取り組み。ホテルへの期待感や満足度は残しつつ手軽にエコに参加できる、お客さまのニーズに応える施策です。」

さらに、奈良ホテルを利用されたお客さまからは、「支払ったカーボンオフセット投資資金が奈良の森林保全に利用されるのか」といった問い合わせがあったことから、宿泊客は自身が訪れた地域の環境保全に対し強い意識を持っていることにも注目していると、同ホテルズの阿部光太郎係長はいいます。地域や団体を特定したクレジットの循環、例えば、奈良ホテルが受け取った投資資金を奈良の環境保全に使うといった地産地消のカーボンオフセットが実現できるか、そこから新しいホテル×地域のビジネスを創造できるかなど、さまざまな可能性が広がります。

阪万博を見据えた取り組み&地産地消へのチャレンジ

CO₂ゼロSTAY®の導入理由について、出口部長は、JR西日本グループの中期経営計画や「ゼロカーボン2050」で目指す「CO₂排出量実質ゼロ」を実現する施策の1つとして取り入れやすいこと、また、多くの人にとってメリットがあることを挙げています。特に、2025年に大阪万博を控える関西エリアのホテルにとって、環境への取り組みはマスト。CO₂ゼロSTAY®商品は、エコ意識の高いインバウンド顧客に対し、ホテル側から提案できる宿泊客参加型のエコ施策だと話します。「選択肢の1つとしてホテルグランヴィア大阪の成功事例をもとに、しっかり周知・訴求していきたいです。」

そしてもう1つ、ホテルの楽しみといえば「食」。訪れた土地の食材を存分に味わうことは、旅の目的の1つにもなり、豊富なメニューや食材が揃うのもホテルならでは。しかし同時に、フードロスはホテル業界の深刻な課題でもあります。

同ホテルズでは、宴会の食品廃棄を抑える「3010運動」に加え、2023年には「秋のSDGs Month」と称し、グループ9ホテルにて「サスティナブルスープカレー」を販売。本カレーは、ビールを製造する際に発生した麦芽かすや、チーズを生産する際に発生したホエイなど、本来使い道がなく捨てられてしまっていた「もったいない食材」を活用し、ホテルグランヴィア京都の総料理長を中心に考案されました。

各グループホテルではそれぞれの総料理長が地域色を活かしたトッピングを合わせて、それぞれのホテルならではのオリジナルカレーに仕上げて提供。地域で発生した「もったいない」食材を、地域の味に変換して楽しんでいただく、地産地消の取り組みとして好評だったそうです。持続可能な社会の実現に向けて「地産地消」は、未来を切り拓くカギになるかもしれません。

大阪万博は、関西エリアのポテンシャルを最大限に生かすチャンス。関西のホテル業界をリードする存在として、CO₂ゼロSTAY®の導入の成功事例を筆頭に、トライ&エラーでさまざまな環境対策に取り組んでいきたいと奮起する出口部長。活力にあふれる関西パワーに期待が膨らみます。

左より、カンパニー統括本部 出口聰様と阿部光太郎様 (株式会社ジェイアール西日本ホテル開発)

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