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企業と地域のコミュニケーション、そしてSDGs貢献を考える

三菱地所の新事業「膝栗毛」が目指すものと、共感&体験型コミュニケーションのススメ
「人と企業と地域をつなぐ コミュニケーションMIX」レポートVOL.2

「人と企業と地域をつなぐ コミュニケーションMIX」は、2022年3月16日(水)~18日(金)に開催されたJCDによるオンラインイベントです。昨今の企業経営において「サステナビリティ」、「EX(エンプロイー・エクスペリエンス)向上」、「DX」といった重要な課題を切り口に、3日間に渡り14のセッションを行いました。 本記事では、「従業員とのコミュニケーションを考える」に続いてのレポート第2弾として、「サステナビリティの切り口でコミュニケーションを考える」をテーマに、「企業と地域のコミュニケーション」に着目した、DAY1の人気セッションの模様をお届けします。

企業と地域のコミュニケーション、そしてSDGs貢献を考える

SDGs貢献企業に聞く!地域と企業の成長に効くコミュニケーションとは

DAY1の基調講演では「SDGs貢献企業に聞く!地域と企業の成長に効くコミュニケーションとは」と題して、三菱地所株式会社 新事業創造部兼エリアマネジメント企画部 統括 米田大典氏が登壇。企業と地域のコミュニケーションの取り組みとしての事例紹介や、それらを通じたサステナビリティについて講演いただいた内容をレポートします。

企業と地域のコミュニケーション、そしてSDGs貢献を考える

PROFILE==================================
米田 大典 氏米田 大典 氏
三菱地所株式会社 
新事業創造部 兼 エリアマネジメント企画部 統括
2005年三菱地所入社。営業を経験後、大阪へ赴任。「グランフロント大阪」のリースアップを完遂後、街のブランディングを担当。その後、有楽町エリアのリブランディングプロジェクトにて「SAAI」を企画・立ち上げ。同時に社内新事業提案制度で「膝栗毛」を正式事業化し、新会社を設立する。

松長 良博(聞き手)
株式会社JTB コミュニケーションデザイン
コーポレートソリューション部 プロデュース局 マーケティング統括
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※肩書きは記事掲載(2022年6月)時点のものです。

三菱地所株式会社様は、サステナブル・ブランドジャパン調査レポートのSDGs貢献イメージにおいて上位に得点ランキングされ、また2019年経済産業省が発行した「SDGs経営ガイド」にオブザーバー参加するなど、多方面でサステナビリティ推進に取り組んでいます。こうした環境のもとで、米田氏は同社の新事業提案制度を活用し、地域活性化事業「膝栗毛」という事業を立ち上げ、現在はその代表も務めています。
今回は「膝栗毛」の生まれた背景や、企業と地域のコミュニケーションにおいて目指すこと、地域と協業する際に大切にしてきたことなどについて様々なお話を伺いました。

上:三菱地所株式会社 米田氏 下:JCD松長
上:三菱地所株式会社 米田氏  下:JCD松長

まず、三菱地所株式会社様は「まちづくりを通じて社会に貢献する」という基本使命があり、さらに近年策定された「Sustainable Development Goals 2030」の中の「新たな世界を生み出し続ける革新的なまちづくり」に通じていたことから、今回の社内新規事業提案制度がスタートしたとのご紹介をいただきました。

ハードな開発を伴わない新規事業「膝栗毛」とは?

当初は不動産ディベロッパーがなぜ、オフィスやホテル・商業施設などのハード開発を伴わないジャンルの事業を手がけるのか?という声も少なくなかったそうです。この時米田氏は、『いわゆるハード開発だけに絞ってしまうと、どうしてもエリアが限定されてしまう』、『開発が難しい地域においても、人の流れを生み出し、まちづくりのきっかけを作る活動ができれば、社の基本使命にも沿っている。地域固有の文化や歴史、情報をコンテンツ化し、伝えていくことも必要ではないか』 と思ったとのこと。そこからハードの開発を伴わないまちづくり=膝栗毛が生まれました。

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「膝栗毛」は、"身近な町の、何気ない道を、エンターテインメントに"をコンセプトに、スマートフォンのアプリといったデジタルツールを使って、"歩き旅"によって新しい場所や人に出会うリアルな体験が得られるプラットフォームです。ユーザーは、デジタルとリアルを組み合わせて、その土地ならではの歴史や文化を学びながら地域のストーリーを巡る探訪体験ができます。

まずは東海道エリアからスタートし、東は日本橋から三島まで、西は京都から草津まで、さらにその間の島田から掛川までの16区間、加えて京都「京の食路」・大井川鐵道沿線・丸の内皇居エリアでサービスを展開中です(2022年6月現在)。東海道周辺に限らず、日本各地へとエリアを広げていくべく進めております。

「膝栗毛」事業開発を通じて目指す、地域の課題解決

日本の各地域には人口減少や過疎化など、様々な課題があります。一方でコロナ禍において、労働力の流動化やリモートワークなど、働き方も変化しました。こうした状況下で、米田氏は、今後は"人レベル"で地域への関わりを増やしていくことが重要だ、との考えを示されました。

地域には、その土地で暮らす人が気づいていない、独自の景色や文化、歴史、モノ、人など面白いコンテンツがたくさんあります。ここで得られる感覚や体験の価値を伝えていくことで、もっともっと、その地域に興味をもち、関わりたいと思う人が増えてくる。こうした流れを作ることで地域に訪れたり関わったりする人々、ひいては住んでみたいと思う人々の数も増え、マーケットの拡大、地域課題解決の一助になると考えています。

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たとえば、茶畑の広がる牧之原。地元の方にとっては何の変哲もない景色でも、初めて訪れた自分にとっては、一帯の斜面に広がる茶畑はまさに絶景と感じたし、それを眺めて歩くこと自体が非日常でワクワクする体験だった、というエピソードも。お茶の生産のことや文化のことを知りたい、何かできないかな?日常に取り入れられないかな?などと興味がわいてくる、それらを地域に関わりたいと思う人を増やすきっかけにできないかと考えた、などといったお話もありました。

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また、地域の内側と外側の意識や価値観のギャップこそが人を惹きつける要素になるということや、企業が地域に入っていく際には、一緒に面白いことを考えましょう、一緒にやりましょう、何かやりたいことはないですか?・・・と、一つひとつ丁寧にコミュニケーションしていくことが大切と考えている、とのことでした。

「膝栗毛」事業のSDGs貢献の可能性

次に、本イベントのテーマでもあったサステナビリティの観点で本事業を紐解いていきました。SDGs目標のうち「8.働きがいも経済成長も」という点において、膝栗毛は観光素材の開発や賑わいの創出、地域コミュニティの活性化といったマイクロツーリズムにつながります。また「3.すべての人に健康と福祉を」では、まさに膝栗毛のテーマ"歩き旅"を提案していくことで健康問題の解決にも貢献したい、とのお話でした。さらに今後は、「12.つくる責任つかう責任」の観点で、膝栗毛アプリにより、将来的に経済効果などのビッグデータを活用してインパクトを計測したり、「14.海の豊かさを守ろう」という観点で、例えば離島に対象エリアを広げたりするなどして離党観光振興に貢献するなど、引き続き、SDGs達成に向けて取り組んでいきたいとのことでした。

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今後の展望と、協業するJCDに期待すること

米田氏は、今後について「日本各地には魅力的なのに知られていないたくさんのコンテンツが眠っている。それらを再編集して『膝栗毛』のようなプラットフォームで発信していくことで、その場へ行き、関わる人が増やし、地域活性につなげていきたい。そうやってその地域を愛する人が増えれば、都市部だけでない人口流入やマーケットの拡大が地域にも得られるはず」、「そのゴールに向けて活動を継続していきたい」と語りました。

JCDに対しては、官公庁や地方自治体・観光事業者などへの強い地域リレーション、また旅・観光分野においての地域活性化のノウハウを期待していただいており、今後も様々な面で協業しながら事業を加速していきたい、とのお話でした。

企業コミュニケーションに共感と体験を!
地域とエンターテイメントでワクワクを産み出す方程式

続いて、これまでご紹介した「膝栗毛」にも構想段階から携わってきた、JCD 事業共創部 プロデュース局エクゼクティブプロデューサー 川杉章によるこちらのセッションをダイジェストでご紹介します。

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PROFILE====================================
2205now_commixk1_kawasugi.jpg川杉 章
株式会社JTB コミュニケーションデザイン
事業共創部 プロデュース局エクゼクティブプロデューサー
1998年入社。広告営業担当を経て、地域振興やスポーツツーリズム、地域ブランディング、さらに地域×企業を連携するプロジェクトの事業創出を手がける。日本スポーツツーリズム推進機構(JSTA)企画委員 / 東京都観光まちづくりアドバイザー / LocalistTokyoコミュニティコアメンバー等としても多岐に活躍中。団体、大学等での講演活動実績も多数。

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当セッションについて、ケーススタディを含んだ資料は、下記よりダウンロードいただけます。

講演資料ダウンロード

共感と体験を生み出すコミュニケーションの重要性

セッションの前半では、コミュニケーションを取り巻く環境をご説明。これまでは、情報発信や価値伝達といったものがコミュニケーションであると言われてきました。しかし時代は変わり、コミュニケーションを取り巻く環境にも、続々と新しい言葉が生まれています。社会のニーズや人々が求めるものが次々と変革するなかで、これからは"共感と体験"がコミュニケーションの中心となっています。

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こうした状況を踏まえた時、企業のサービスやメッセージの伝え方も再構築する必要があります。一方通行の呼びかけでは伝わらない。つまり消費者や受け手がポジティブに聞き入れる姿勢をもってこそ、初めてコミュニケーションが成立する。そのために伝えたいことを、ワクワクに変換する必要があるとのこと。このワクワクこそが、"共感と体験"に他ならないわけです。

これからは、伝えたいメッセージや情報をもとに、どうやって共感を獲得すれば良いのか考えなければなりません。さらにそれらを人々の意識の中に定着させ、行動へと喚起させるためには、アタマではなく体験としてカラダで理解させるようなコンテンツの構築が必要になる、ということをお伝えしました。

企業が伝えたいメッセージや情報は、いつも消費者やユーザーが求めているものとは限りません。ですので、彼らが興味を示し、共感できるようなコンテンツを模索して、ポジティブな体験として提供することが大切です。

地域とエンターテイメントでワクワクを生み出す方程式とは

共感と体験が得られ、ワクワクするコミュニケーション。言葉で言うのは簡単ですが、ではどうすれば創り出すことができるのかーーーその方程式として、次の3つの要素の掛け合わせから考えることをご提案しました。

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1.Social Good 共感を呼ぶストーリーを創り、社会に役立っているという価値を示すこと。
2.Region 地域との接点を活かすこと。
そして3.Entertainmentで体験価値の最大化をはかること。
これらを掛け合わせることで、共感と体験が得られ、ワクワクするコミュニケーションを生みだすことができます。

事例の1つが、前項でもご紹介のあった「膝栗毛」です。ユーザーにはデジタルなプラットフォームを使ったリアルな体験"歩き旅"をしていただきながら、楽しみながら情報を伝え、共感を呼べるような体験価値を提供しています。

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派生して、こんなプロジェクトにも発展しています。

「京の食路」プロジェクト
https://kyonoshokuzi.jp/
"食でつながる。京と、あす。"をテーマに、地域と、地域を代表する企業が一体となって新しい価値を創出し、京都の食文化全体を未来へと紡ぐプロジェクトです。「膝栗毛」とも連動しながら、京都の食に関わる生産者や料理人たちと、京都の食文化を、人々をワクワクさせる体験価値へと昇華させて伝える活動を行っています。

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企業コミュニケーションにおいて、『ワクワク=共感と体験』を生み出すためにも、地域とエンターテインメントを上手に活用していきましょう、というご提案から、様々なケーススタディをお話しした本セッション。
地域と連携して何か取り組みたいが、どこから手をつけていいかわからないので相談に乗ってほしい、などと考えるお客様から多くのお問い合わせをいただいております。

JCDだからできる、地域とエンターテイメントによる共感と体験

私たちJCDは、ツーリズム領域や地域におけるコミュニケーションのプロフェッショナルとして、様々なプロジェクトに関わってきた実績とコネクションを有しています。今回ご紹介した「膝栗毛」をはじめとしたオリジナルソリューションや各種プロモーションを掛け合わせながら、オーダーメイドで企業と地域をつなぐコミュニケーションの取り組みをお手伝いしています。
また、官公庁や自治体の制度にも精通しているので、地域や行政と連携し、より社会的価値の高い施策をご提案することも可能です。ぜひご相談ください。

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