- まちづくり・地域活性課題
- Report
2022.07.27
スクラムで新たなムーブメントを創出 ファン×地域×スポーツ
ジャパンラグビーリーグワン リコーブラックラムズ東京
イベント&プロモーション事例紹介
国内のラグビーリーグは2021年まで「TOP LEAGUE(トップリーグ)」と呼ばれていましたが、2022年から「JAPAN RUGBY LEAGUE ONE(ジャパンラグビーリーグワン、以下、リーグワン)」として生まれ変わりました。
株式会社リコー様のラグビーチームであるリコーブラックラムズ東京(以下、ブラックラムズ東京)は、1953年に結成された世田谷区をホストエリアとする伝統あるチームで、このリーグワンに参戦しています。今回JCDは、ブラックラムズ東京のホストゲームの試合運営や集客イベントの企画実施、特設サイト制作といったプロモーションを軸に、ホストエリア内である住民の方々の来場促進など新規ファン獲得のための施策を提案いたしました。
本記事では、提案に際し目指したこと、背景にあるコンセプトやイベントの様子などをご紹介します。
新リーグで生まれた新たな課題に対し
部門を超えたプロジェクトチームの結成
2022年からはじまったリーグワンでは、ホストゲームの運営やイベント管理等、チーム主体での実施が求められました。株式会社リコー様とJTBグループはかねてよりお取り引きがあり、ご担当者様からブラックラムズ東京のチーム運営のご相談をいただいた事が当プロジェクトに携わるきっかけとなりました。
当初はファンクラブ運営やチケット販売システムの構築のご相談でしたが、ミーティングを重ねていく中で様々な課題が浮き彫りとなり、最終的にはチーム運営だけでなくホストエリアの住民の方々への認知拡大から既存のファンとのつながりの強化まで、多岐に渡るご要望をいただくこととなり、JCDも部門の枠を超えたチームでスクラムを組む事となりました。
新リーグの立ち上がり直後であらゆる面での前例がない中、チームや企業、地域など、多くの関係者が関わるプロジェクトにおいては、情報の共有がとても重要となります。そのため、JCDが関係者間をつなぐコミュニケーションのハブとなることで、プロジェクト全体の牽引役としての役割を果たしていけるよう努めました。プロモーションからイベント運営まで一気通貫した提案ができる組織力、複雑なプロジェクトを推進するマネジメント力を持っていることがJCDの強みです。
チームステートメントを読み解きゼロからコンセプトを策定
「真黒(シンクロ)」
プロジェクトを進めるにあたり、ブラックラムズ東京のチームステートメントを軸にコンセプト作りから始めました。
ブラックラムズ東京様のご要望は、世田谷区を中心としたホストエリアからムーブメントを起こすことでした。そのために必要なのはホストエリアの方々への認知や来場促進、既存ファンのエンゲージメントの醸成などに向けた様々な視点からのプロモーション施策です。そこで、イメージを統一するために、チームカラーである「黒」を全面に押し出した「真黒(シンクロ)する瞬間をともに」というコンセプトを策定しました。シンクロには"共感する、影響し合う"などの意味があり、シンクロすることで、"真のブラックラムズ東京が表現される"というストーリーに加え、"会場を一緒に黒で染めましょう"という想いも込められています。
ラグビーの価値転換による地域住民へのアプローチ
試合会場を休日のお出かけスポットに
主たるターゲットはファミリー層でしたが、「ルールが難しそう...」「会場で子どもがグズるかも...」という意識が強く、このイメージの払拭を図ることも課題の一つでした。そこで、『ブラックラムズ東京の試合を休日のお出かけスポットとする』という価値転換を図る提案をしました。
これは試合会場を、休日に家族や仲間と行く公園のような気軽さや楽しみを合わせ持った空間として演出することにより、チームと住民、双方の想いの融合を図ることを目的としています。さらに、新規のファンを増やすための施策として、イベント特設サイトを連携させたプロモーションも提案。
コンセプト策定段階から幾度もミーティングを重ね、双方での課題意識を共有したことで、無事採択をいただき実施につなげることができました。
魅きつけるスポーツイベントで
人と地域とチームをつなぐ
シーズンが始まったイベント会場のコンテンツは体験型のアクティビティの実施を重視し、公園にふらっと遊びに出かけた家族連れが気軽に立ち寄ってみようと思える雰囲気を演出しました。ラグビーボールを蹴ったり、パスすることを体験できる「キック&パスターゲットコーナー」や、ブラックラムズ東京のキャラクター「ラムまる」にちなんだ本物のヒツジと触れ合えたり餌をあげられる「らむずパーク」は、子どもたちに大人気でした。
子どもたちにフォーカスを当てることで、自然と家族という単位の集客となり、またそれは、未来を見据えたファンづくりへとつながると考えています。
さらに、ラグビーのイメージ払拭のため、理解しやすく、興味を持っていただけるよう、ルールやマナー、ブラックラムズ東京の選手にまつわるエピソードを漫画化したフォトパネルを作成し、好評を得ました。
シーズンの後半になるにつれ、グッズを購入するために、開場30分前から列をなすことが増え、ファンの方々の熱量が上がっていると感じました。今までファンでなかった人がファンになり、ライトファンがコアファンになるなど、今回の取り組みがファン層拡大のための一助となったのでは、と感じています。
一過性のイベントとせず
スポーツの将来をこれからも共に
今年から始まったリーグワンという新体制での運営は、チームもJCDも手探りで進めることが多く、また新型コロナウイルスの影響で試合が直前に中止になるなど、急遽の対応に追われることもしばしばありました。そのような環境下で培った経験とつながりを大切に、これからも長期的観点でチームや地域を盛り上げていくことが必要であると考えています。
チームと地域の接点の確立やコミュニケーションのあり方も、今回の経験を通じて、今後考えていくべき大きな課題であると捉えています。また、地域のファンに応援してもらうことはチームへの大きな後押しとなり、そして地域がさらに活性化するためにも、持続的なファンや地域とのリレーションの構築が、とても重要であると私たちは考えます。
今後も、クライアント様と強固なスクラムによりワンチームとなり、一気通貫したソリューションの提案ができる組織力、複雑なプロジェクトを推進するマネジメント力を発揮し、JCDの強みを活かしていきたいと思います。
株式会社リコー リコーブラックラムズ東京ご担当者 福岡 進様からのメッセージ
「長年、企業スポーツとしてラグビーを推進してきた我々にとって、リーグワンへの参戦と同時に派生した公式戦の主管運営は、安全安心な競技運営と興行収支目標必達の両立が求められ、大きな不安やプレッシャーがスタッフ全員にのしかかっていました。そんな中、パートナーとして協業いただいたJCDさんは我々と同じ目線で課題をひとつひとつクリアにしながら見事に導いてくれました。試合結果を一緒になって一喜一憂できる関係性はまさにワンチームの証です。」
スポーツには、人々の心を動かす大きな力があります。JCDはコミュニケーションを活性させるコンテンツや、効果的な施策を展開することでスポーツを一過性の盛り上がりで終わらせるのではなく、パートナーとして将来を見据えてクライアント様に寄り添う存在でありたいと思っています。