- 人と組織の活性化
- Report
2021.12.15
「インナーブランディング」とビジョン浸透の重要性
施策・事例や効果測定まで徹底解説~HRカンファレンス2021秋 セミナーレポート
今、多くの企業様が自社のブランド価値向上、あるいは働き方が多様化する中で社員のエンゲージメントを高めるためにどうすべきか、についての課題を感じています。自社のミッションやビジョンを達成するための戦略・目標・組織体制等を改めて定義・構築し浸透、実践を目指していくインナーブランディングは、組織全体で取り組むべき企業活動として注目されています。
先行きが不透明である今、不安を抱く社員1人ひとりの「自分から動くという意識」と「仕事への熱意」を高めていき、会社の目標達成や企業価値の向上へとつなげていくことは、企業が成長し続けるための鍵となります。
このたび、当社HRコンサルティング事業局 チーフコンサルタント 夏苅が、11月に実施されたHRカンファレンス2021秋にて、「『インナーブランディング』から学ぶ経営理念、ビジョン浸透の重要性とは」というテーマで講演を行いました。「インナーブランディングのポイント」や「1年目~3年目の実施計画事例」、「効果測定の仕方」について、具体的な進め方や効果的な施策事例をお話ししました。今回はその様子とダイジェストレポートをお伝えします。
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株式会社JTB コミュニケーションデザイン(JCD)
コーポレートソリューション部
HRコンサルティング事業局
エグゼクティブ プロデューサー 兼 HRチーフコンサルタント
夏苅 正史
某大手小売流通企業にて店長を経験後、人材開発部門へ着任。採用戦略、選考設計等を担当した後、人事専門のコンサルティング会社で採用戦略及び入社後の定着へ向けた人材育成コンサルティング支援を経験。採用事業責任者として組織マネジメントと新規教育事業の立ち上げにも従事。現在は、「信頼関係構築」と「働く意欲」に関するJTB独自メソッドをベースに、お客様のニーズに合わせた人財育成プログラム開発と、経営課題解決に向けた企業ビジョン策定及びその浸透化活動における複数年プロジェクトのコンサルティング支援等で活躍中。
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1 JCDが考える「インナーブランディング」
企業や組織が掲げるミッションやビジョン、バリューは、本来市場やお客様からは見えないものです。これを社員たちの意識と行動によってお客様への提供価値を実現させ、市場から見える状態へとつなげていく。こうして企業がもつ様々な価値の向上をめざす考え方が、私たちがご提案している「インナーブランディング」活動です。
JCDが2020年6月に実施した調査「会社のビジョンに関する意識調査」によると、自社のビジョンを知っていると答えた方は51.1%と約半数にとどまることがわかりました。「インナーブランディング」活動は、ミッションやビジョン、バリューを市場に認知させていかなければならないのに、そもそもそれを実行していく社員たちの約半数しかビジョンを理解していないのです。こうした現状を鑑みると、私たちが「インナーブランディング」に着手しなければならない理由が分かります。
なお、各企業様が「目指したい姿」と、発信されているメッセージは、おおむね 8つ挙げられます。
①ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)を改めてこのタイミングから正しく発信し、正しい理解を得たい
②社員が、"お客様のための商品・サービスだ"という根本に立ち返ることを求めている
③自社の提供価値を見直し、魅力を認識し、社員1人ひとりが顧客対応における自信を持つことができる
④社員のお客様志向を高め、お客様との信頼をさらに深めていきたい
⑤社員同士、互いを尊重し、信頼関係を醸成したい
⑥事業活動全体を通じて社会課題に貢献し、エンゲージメントを強化したい
⑦社員の定着率が向上し、さらに優秀な人材獲得もしたい
⑧コアとなる既存事業の拡大だけではなく、新規事業開発も強化していきたい
各社様の表現方法は異なるものの、「目指したい姿」としては、おおむねどの企業様にも当てはまる内容ではないでしょうか。これらの状況を作り出すために、会社が社員に対して取り組むべき活動が「インナーブランディング」であると言われています。
なお、活動をスタートする前にまずやるべきことがあります。それは、そもそもなぜ「インナーブランディング」が必要となるのかといった「意義や目的を考える場」を、社員1人ひとりにきちんと用意しておく必要があるということです。経営層、管理職層をはじめ、現場社員に対して、「インナーブランディング」活動の目的を自ら考え、考察をカタチにしていく場の提供が不可欠です。
2 「インナーブランディング」活動の設計ポイント
こちらがJCDの「インナーブランディング」設計フレームです。先ほどの①にもあったような、「ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)」をどう浸透させ、実践できるようにしていくかという観点で、大きく分けて「認知」「理解」「共感」「行動」の4段階に分け、順番に活動を展開させていきます。
それぞれのフェーズでどのように目標設定をすべきかといった施策検討のポイントも重要です。興味深い話としては、多くのお客様が「認知」からいきなり「行動」してしまい、途中のプロセスを省きがちだということ。「インナーブランディング」活動を成功させるためには、プロセスを細分化して段階的に展開させていくことが大切なのです。
効果測定の結果からは2つの側面が見えてきます。1つ目はビジョン浸透の活動で想定される課題(壁)です。解決していくためには、理解から共感を高めるための阻害要因を分析し、効果的な打ち手を検討することです。2つ目は自社の目標設定をどのレベルで行うべきか。このヒントが効果測定から見えてきます。
3 「インナーブランディング」活動事例や組織体制
「インナーブランディング」活動を始めるにあたり、たとえば3ヶ年計画で進めると仮定すると、年度それぞれでポイントがあります。1年目は組織活動のための体制づくりやビジョンを理解しきちんと現場で体現できる、という状況まで作ることが必要です。そのために私たちは、 "アンバサダー"の選定をご提案しています。"アンバサダー"とは、インナーブランディング活動を企画するチームとは別に、現場にビジョンを浸透させていく活動を実践していくコアメンバーのことです。
さらに2年目では"アンバサダー"の入れ替えを行い、活動を加速させます。さらに3年目では、再度のアンバサダー入れ替えと共に、組織の中で生じるギャップや部署ごとのばらつきに対応していきます。こうした年度別の企画ポイントやそこでつまずきやすい点についてもJCDでは様々な企業様へアドバイスしております。
今回のセミナーでは、具体的な打ち手として、全部で80項目にわたり細分化したものをご紹介しました。ただしお客様によって活動においてのリソースや規模感も異なるので、その全てを必ず実施しなければならないということではありません。実態に即した打ち手を、この80個の施策をヒントに社内で検討いただけるのがよろしいかと思います。
また「インナーブランディング」活動に際しては、全社の体制としてどう進めていくべきなのか、よくご質問をいただきます。こちらについてもセミナー本編では、経営層~役員・部長といった上位層~課長クラス~メンバーと全社をどう巻き込んでいくのがスムーズなのか、その大枠をご説明しています。
組織の中で、社員総会や朝礼等で経営層からの継続的なメッセージ発信はもちろんのこと、役員・部長といった上位層へのコミット、そしてアンバサダーとなる課長クラスやリーダーを位置付け、メンバーへメッセージがきちんと伝わり、現場での実践につなげるといった仕組み作りも重要です。上位層からは日々の声掛けや活動のサポートを、メンバー層からは進捗の報告や相談ができる状態をイメージしていただけると、わかりやすいでしょう。
こちらの「会社のビジョンに関する意識調査」からも、上位層と比べると一般社員のビジョン認知度が低いことが伺えます。
4 失敗しないインナーブランディング活動のポイント
「インナーブランディング」活動を成功させるための進め方には、以下のポイントが挙げられます。
・社員自ら考える場を提供
・ビジョン浸透化サイクルの活用設計
・状態目標への落とし込み(=効果測定)
・3年計画のシナリオ策定
・ビジョン浸透化サイクル×3年間への落とし込み
これらを押さえながら、それぞれの企業様のご事情と活動条件に合わせて戦略を検討していく必要があります。
「インナーブランディング」活動を通じて社員のワークモチベーションを上げたいという企業様もあると思います。JCDの施策では、「インナーブランディング」活動を加速させる独自のメソッドを元にして、個人の経験則や感覚だけに捉われない客観的なデータに基づく「信頼関係の強化」や「モチベーション向上」にも役立てることができます。
私たちは長年、従業員の意識調査や満足度調査を手がけてきましたので、「インナーブランディングをどうやって進めたらいいかわからない」、「既に着手しているけれど具体的な計画や効果検証など、これでいいのかわからない」、といった、様々な企業様や組織の方が抱える課題にお応えできます。お客様それぞれのご事情に合わせて、具体的な計画や打ち手をご提案いたしますので、ぜひご相談ください。
セミナー全編では、本テーマについてのより詳しい内容や、80項目にわたる打ち手、具体的な計画の事例もご紹介しています。是非ご視聴ください。
※本動画は11/26実施セミナーのアーカイブ動画です。一部、募集期限を過ぎている情報も掲載されていますので、あらかじめご了承ください。