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Cookieレス時代における広報・プロモーションのDXとは?

「データ活用の新時代を考える コミュニケーションMIX」レポートVOL.3

「人と企業と地域をつなぐコミュニケーションMIX」と題し、2022年3月16日(水)~18日(金)に開催されたJCDによるオンラインイベント。昨今の企業経営において「サステナビリティ」 「EX(エンプロイー・エクスペリエンス)向上」 「DX」といった重要な課題を切り口に、3日間で14のセッションを行いました。

JTBcommunicationDesign COMMIX

本記事では、前回のイベントレポート「企業と地域のコミュニケーション、そしてSDGs貢献を考える」に続いてのレポート第3弾として、「コミュニケーションのDXを考える」をテーマに「Cookieレス時代における広報・プロモーションのDX」に注目した人気セッションの模様をお届けします。

  1. データ分析の第一人者が見据えた広報・プロモーションのDX活用
  2. そのデータは、活用されているのか?
  3. 広報・プロモーションにおけるデータ活用の未来
  4. 企業のDX構築のポイント
  5. 複数あるデータの分析を自動化することで、新しい施策が生まれる
  6. Cookieレスにおけるデジタルマーケティング戦略とは
  7. セミナーのポイント
  8. 個人情報保護とデジタルマーケティング
  9. Cookieレス時代のマーケティング戦略
  10. 脱Cookie化へ

1 データ分析の第一人者が見据えた広報・プロモーションのDX活用

DAY3の基調講演では「広報・プロモーションのDX データ活用の新時代」と題して、株式会社データビークルの創業者 西内 啓 氏にご登壇いただき、広報やプロモーション領域においてどのようにデータを活用すべきか、活動を通じて取得したデータをROIやCAPの評価にとどまらず、収益に結び付けていくためのヒントについてお話しいただきました。

PROFILE====================================
株式会社データビークル 西内 啓 氏西内 啓 氏
株式会社データビークル 
最高製品責任者

1981年生まれ。 東京大学助教、大学病院医療情報ネットワーク研究センター 副センター長等を経て、現在多くの企業のデータ分析および分析人材の育成に携わる。 2014年 11 月に株式会社データビークルを創業。拡張アナリティクスツール「dataDiver」などの開発・販売と官民のデータ活用プロジェクト支援に従事。著書に『統計学が最強の学問である』、『統計学が日本を救う』(中央公論新社)などがある。2017年第10回日本統計学会出版賞を受賞。
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※社肩書きは記事掲載(2022年7月)時点のものです。

2 そのデータは、活用されているのか?

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Withコロナと言われる時代背景のなかで、IoTやAIが目覚ましいほど普及しています。オフラインを含め、さまざまな顧客行動を可視化できる昨今、広報やプロモーションでも、企業の事業収益の向上につなげる施策が可能となりました。もはやビジネス領域でデータ活用することは当たり前と言っても良い状況となっています。

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これまで企業やビジネスにおけるデータ活用は、BIツールを利用した"何が起きたのか"を分析する「記述的分析」に留まってきたケースが多く見受けられました。クリック単価はいくらなのか、訪問者数はどれくらいか、コンバージョンはどうなっているかといった過去を知る分析で終わらせている例が多いのですが "なぜ起こったのか"を分析する「診断的分析」や、将来"何が起きるのか"を見極める「予測的分析」の視点が欠けているためこれでは次のアクションに繋がりません。技術的な進歩も急加速しており、これからは拡張アナリティクスやAI構築自動化ソリューションを使用して、原因の解明や未来予測に対してもデータによる分析を活かす必要性が求められています。

3 広報・プロモーションにおけるデータ活用の未来

プロモーション分野では、これまでも記述的分析が中心ですが、データ分析がなされています。しかしながら企業広報においては、データを取るといった概念が根付いていないせいか、せいぜい新聞や雑誌に記事が載った際、それを広告に換算した時の評価額を算出するといった、いわば記述式分析で留まっているのが現状です。広報という施策に対し、診断的な分析や予測的な分析ができていません。これからはデータを活用することにより、実際に媒体で報道されたことで、申し込み数や問い合わせ数が上がったと評価できるマーケティング要素で捉えられるようになるとよいでしょう。例えばマーケティング・ミックス・モデリングという手法を採り入れることもできます。これは、マーケティング目標に影響する多数の要因を時系列データとして集め、統計的手法によって各要因の相互関係や影響度を検討する手法です。広報やプロモーションの視点では、1週間毎の申し込み率やWebでの導線(クリック率など)を蓄積し、さらにその時期の広告や広報施策をしっかりとまとめておきます。そうすることにより、曜日や季節の変動を差し引いた状態でデータ検証ができるようになるのです。広報施策やプロモーションが"誰に響いているのか""どのような結果をもたらすのか"といった、効果を分析することが、これからの広報には求められるでしょう。

4 企業のDX構築のポイント

経産省のDX定義にもあるように、これからはデータとデジタル技術を活用して、商品やサービス、さらには企業組織や文化の変革を促し、競争優位性につなげていかなければなりません。しかしながら、現状ではデジタル技術の話ばかりが先行しがちになっています。デジタル技術の活用自体が競争力になっていれば問題ありませんが、デジタル技術にも様々な選択肢があるので、企業が取り組む課題や大事にしているポイントとの相性が合うのか、しっかりと見極めていく必要があります。
観光分野を例に挙げてみましょう。例えば高齢者向けのバスツアーのプロモーションをデジタル化する場合はどうでしょうか。対象である高齢者がデジタルと相性が合わないと考えるなら、そこは無理にDXと言ってデジタル化をしなくても良いのかもしれません。むしろ内部のオペレーションなどをデジタル化して、効率化を図れば良いのです。あくまでデータを有効活用してDX化していくことが大切なのです。

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5 複数あるデータの分析を自動化することで、新しい施策が生まれる

先ほどの話にあった拡張アナリティクスやAI構築自動化ソリューションを使っての「診断的分析」や「予測的分析」ツールの優位性は、複数のデータを自動的にひとつにまとめ、自然言語で分析・予測できる点にあります。これを踏まえた上で、訴求メッセージを改めて考えたり、商品の改善点を炙り出したり、新商品の販売予測といった施策面へとスムーズにつなげることができるのです。

対談の様子
対談の様子

データ分析というスキルが、そう遠くない将来において誰もが利用する当たり前のものになっていくでしょう。最近のIT分野では「市民データサイエンス」という言葉がグローバルで使われていることもあり、データサイエンスはより民主化していきます。BIツールやAI、機械学習といったツールへ企業が積極的に投資するように、今後はデータサイエンティストに限らず、誰もがデータサイエンスツールを使いこなす世の中になるでしょう。
これからは、データを蓄積するシステムを持つ企業と協業を目指しています。データの蓄積があれば、AIソフトウェアを使ってパートナーと共に解析していく共創の仕組みが広げられるはずです。原因の解明から将来の予測までを含む一歩踏み込んだ分析手法を、全ての意思決定をする方々へ提供することが私の抱負です。

6 Cookieレスにおけるデジタルマーケティング戦略とは

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続いてJCD コーポレートソリューション部 プロデュース局 マーケティング課 デジタル マーケティング エバンジェリスト 直井 英樹によるCookieレスの時代における今後のマーケティング戦略をご紹介します。

PROFILE====================================
株式会社JTB コミュニケーションデザイン 直井 英樹直井 英樹
株式会社JTB コミュニケーションデザイン
コーポレートソリューション部 プロデュース局 マーケティング課 デジタル マーケティング エバンジェリスト
2002年 JTBコミュニケーションデザイン(旧JIC)に入社。デジタルプランナーとして、主にデジタルメディアのバイイングを担当。2021年よりマーケティング課に所属。Salesforce機能を活用したインサイドセールスなど、デジタルマーケティングを推進。
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※社肩書きは記事掲載(2022年7月)時点のものです。

7 セミナーのポイント

①1st Party・2nd Party・3rd Party、そして0 Party。デジタルマーケティング施策はどうなるのか?
②「Cookieレスの時代へ」 今後マーケティングに必要な戦略とは?
③Google ソリューション施策強化脱Cookie技術「FLoC」から「Google Topics api」開発へ3rd party Cookieに代わるデジマ戦略は?

8 個人情報保護とデジタルマーケティング

2022年4月に改正・施行された個人情報保護法によって、これまで以上に企業においては、個人情報の適正な取り扱いが求められます。
これまで、デジタルマーケティングでは、ターゲット顧客のセグメントや効率的に興味関心層へ広告を配信する際に、cookie技術が活用されてきました。Cookieは個人情報とみなされています。
自社サイトへの訪問データである1st Party cookie、そして2社間でデータをやり取りする2nd Party Cookie、さらに1st Party Cookieデータを第3社(データプロバイダ)がまとめて管理する3rd Party Cookieが、これまでデジタルマーケティングをする上で重要な役割を担っていました。
日本の法律だけでなく、EU一般データ保護規則( GDPR=General Data Protection Regulation )など、グローバルに個人情報保護が強化される昨今、これからのデジタルマーケティングにおいては、3rd Party Cookieによるデータ取得ができなくなります。これにより今まで効果的に機能していたリターゲティングなどのマーケティング施策がとれず、検索や成約率が下がるといった影響がでてしまうのです。
Cookieレス時代に突入したこうした状況からも、デジタルマーケティングでは、今後1st Partyで情報・データを取得することが大変重要な課題となるでしょう。

9 Cookieレス時代のマーケティング戦略

3rd PartyからCookieが得られない今、実はアンケートなどで同意を得たユーザーデータである1st Party Cookieを育てていくといった0 Party Cookieが、新しいデジタルマーケティングの手法として注目されています。0 Party Cookieでのコミュニケーション施策では、デジタルマーケティングはもちろんのこと、海外調査といったグローバルリサーチや顧客体験なども、DXの活用によって既存のプロセスを見直ししていくことがポイントとなります。

0 Party Dataプラットフォームの強みは、グローバルに展開が可能です。そして顧客の声を捉え、よりコミュニケーションの最適化が図れます。さらにデザイン思考やアンケートROIに適しています。こうした0 Party Dataを利用したサービスは、新規顧客へのリーチとデータ・リターゲティンングによる生涯顧客化を獲得できる「インテリジェントディスプレイ*」や1st Partyデータを取り込み、それらと類似したユーザーに配信できる「オーディエンス インテェリジェンス*」を活用したマーケティング戦略が描けます。

共にCRIMTAN社 提供
*共にCRIMTAN社 提供

10 脱Cookie化へ

3rd Partyデータ利用に代わる新しいソリューションとしては、Google社が高い透明性を保ちながらユーザーの興味があるディスプレイ配信を可能とする「Google Topics API」といった新しい技術開発や、ひとつのキャンペーンでGoogle広告のあらゆるチャネル配信ができる「P-MAX」、YouTubeの動画コンテンツ内容を分析して動画にマッチした配信を行う「YouTube AD コンテクスチュアルPR」といった既存の技術を応用することで、脱Cookie化を加速させています。
こうした状況を鑑みると、3rd Party Cookieに代る技術開発はもとより、1st Partyのデー
タ取得をいかに進めていくか、また得られたデータをどのように統合し、マーケティング戦略へと活用すべきかを今後考えていく必要があるでしょう。

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