- 人と組織の活性化
- Report
2018.02.21
コミュニケーション総合調査<第3報>発表
コミュニケーションは苦手、58%と過半数。
主体的な発信は苦手、受け身のコミュニケーションは得意。
「コミュニケーション総合調査」の第3報として「コミュニケーションへの苦手意識」の報告書をまとめました。本調査では、複雑化する現代のコミュニケーションを鑑み、大学生、会社員、主婦、リタイア層を対象にコミュニケーションに対する総合的な満足度やその要因について分析しました。一人一人が自らのコミュニケーションを見直し、その満足度を向上させ、また企業やコミュニティ等の組織においては、コミュニケーションに関する取り組みの方向性を定める上での一助となることを目的としています。
調査結果の概要は以下の通りです。
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【TOPICS】
① コミュニケーション全般に関して、苦手と感じている人が58%と過半数。
楽しくコミュニケーションできたけれど、苦手意識も高い。
② 苦手なことは、「複数の人の前で、発表すること」75%と4人のうち3人、
「初めて会う人と話すこと」63%。
得意なことは、「人の話を聞くこと」77%。
主体的な発信は苦手、受け身のコミュニケーションは得意。
③ 大学生は、「メールやSNSなどでのやりとり」「雑談すること」が得意。
会社員は、目立った特徴がなく、「文章を書くこと」の苦手意識が主婦と同率トップ。
主婦は、発表や意見を口に出す等の発信すること、掘り下げて話すことが苦手。
リタイア層は、発信することは得意だが、「メールやSNSなどでのやりとり」が苦手。
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【主な調査結果】
1.コミュニケーション全般に関して、苦手と感じている人が58%と過半数
楽しくコミュニケーションできたけれど、苦手意識も高く
コミュニケーション全般の得意度をみると、全体で「苦手」「やや苦手」が58%と半数を超え、苦手に感じている方が、得意に感じている方よりも多い結果となりました。
カテゴリ別にみると、苦手意識は、主婦で63%と顕著に高く、次いで会社員58%、リタイア層56%、大学生54%でした。大学生が、コミュニケーションへの苦手意識は最も低い結果でした。
本調査の<第1報>「2017年の満足度と2018年への期待」では、2017年は「楽しくコミュニケーションできた」と答えた人が55%と、過半数を超えていました。一方で、上記のように苦手意識を持つ人も過半数を超えており、楽しいけれど、苦手意識もあるという、コミュニケーションに対する複雑な心情があきらかになりました。
2.苦手なことは「複数の人の前で、発表すること」が75%と4人のうち3人、
「初めて会う人と話すこと」63%
一方「人の話を聞くこと」は77%が得意
主体的な発信は苦手、受け身のコミュニケーションは得意
コミュニケーションに関する項目を見ると、苦手意識を持つ人が最も多いのは「複数の人の前で、発表すること」で、75%と4人に3人が苦手意識を感じています。次いで「初めて会う人と話すこと」(63%)、「食事会や飲み会などで話をすること」(57%)、「自分の意見を口に出して話すこと」(57%)、「文章を書くこと」(56%)、「自分と世代・境遇が違う人と話すこと」(56%)が上位に挙がりました。
苦手意識よりも得意意識が高くなった項目としては、「人の話を聞くこと」が突出して高く、77%が得意と回答しました。次いで、「雑談すること」は55%の方が得意と回答しています。
人前での発表や初対面、飲み会、意見を言うなどの主体的な発信や日常と違う場面でのコミュニケーションに対して苦手意識があり、人の話を聞くという受動的な場面や、雑談という日常の場面に関しては得意と感じることがわかります。
3.大学生は、「メールやSNSなどでのやりとり」「雑談すること」が得意。
会社員は、目立った特徴がなく、「文章を書くこと」の苦手意識が主婦と同率トップ。
主婦は、発表や意見を口に出す等の発信すること、掘り下げて話すことが苦手。
リタイア層は、発信することは得意だが、「メールやSNSなどでのやりとり」が苦手。
大学生は、コミュニケーション全般に関して苦手意識を持つ人が少ない傾向にありました。特に、他のカテゴリよりも得意という回答が多い項目は、「メールやSNSなどでのやりとり」61%、「雑談すること」62%、「人の話を聞くこと」84%が挙げられます。メールやSNSで雑談をしたり、人の話を聞いたりすることは、会社員、主婦、リタイア層よりも得意と感じているようです。
会社員は、他のカテゴリと比較して特に目立った特徴が見当たらず、「文章を書くこと」という一般的なビジネスシーンに想定される項目に関しても、苦手と回答した人が59%で、主婦の回答と同率1位の結果でした。仕事をすることで、特定のコミュニケーションが得意になることを示す結果は得られませんでした。
主婦は、特に、「複数の人の前で発表すること」82%、「自分の意見や思いを、口に出して話すこと」65%、「あるテーマについて、掘り下げて会話すること」64%が、他のカテゴリよりも苦手意識を持つ人が多い傾向でした。発信したり、掘り下げたりすることに苦手意識を持っているようです。
リタイア層は、大学生に次いでコミュニケーション全般に関して苦手意識を持つ人が少ない結果でした。他のカテゴリよりも得意という回答が多い項目は、「複数の人の前で発表すること」31%、「自分の意見や思いを、口に出して話すこと」52%でした。しかし、「メールやSNSなどでのやりとり」は、他のカテゴリよりも苦手意識を持つ人が多い結果でした。
下記に、特徴の見られた項目に関して、カテゴリ別の結果を図示します。
【まとめと提言】
コミュニケーションをデザインする
リアルなコミュニケーション、憂うつな相手への対処、
コミュニケーションスキルの向上がカギ
「コミュニケーション総合調査」は、大学生、会社員、主婦、リタイア層の4つのカテゴリの方を対象に、それぞれ515人、計2060人にアンケートを行ったものです。<第1報>では、2017年のコミュニケーションに対する満足度と、2018年のコミュニケーションへの期待を明らかにし、<第2報>では、憂うつなコミュニケーションと楽しいコミュニケーションの実態に迫り、<第3報>では、コミュニケーションへの苦手意識に焦点を当てました。
■楽しいけれど、苦手なコミュニケーション
2017年は「楽しくコミュニケーションをとることができた」という回答が55%と過半数である一方で、コミュニケーションは苦手という回答も58%ありました。コミュニケーションに対して、「楽しいけれど苦手」と感じる、複雑な心情がうかがわれます。
■得意な受け身のコミュニケーションをしていれば楽しい?
人の話を聞くことや雑談することは得意という回答の方が多いことから、こうした受け身で日常的なコミュニケーションを取っている限りは楽しいと感じていることが推測されます。しかし、人前で発表することになったり、初対面の人と話したりする場面になると苦手意識が芽生え、楽しいはずの食事会や飲み会ですら、苦手という人の方が多い結果でした。日常とは違う環境で、主体的に発信することには苦手意識が先に立つようです。
■場数を踏んで、苦手意識を克服、楽しいコミュニケーションを増やす
人前での発表や初対面の人との会話は、ある程度経験を積むことで、うまくできるようになるものです。食事会や飲み会での会話も同様でしょう。本調査の<第1報>でも、直接会って話す等のリアルなコミュニケーションの重要性が示されました。
意見を言ったり食事会で会って話したりという、少し気を使う場面を含めて、様々なコミュニケーションの場を経験することが重要です。失敗を恐れず、場数を踏むことが、コミュニケーションスキルの習得につながり、できるようになるとコミュニケーションは楽しくなります。楽しくなると、さらに場数を踏むという正のサイクルが想定できます。逆に、場数を踏む機会がないと、いつまでもコミュニケーションスキルが習得できず、うまくならないため楽しくないという、負のサイクルも想定されます。
■憂うつな相手とも話すことで世界を広げる
本調査の<第2報>では、コミュニケーションが憂うつな相手とも話すことの重要性が示唆されました。憂うつな相手とのコミュニケーションに関しても、場数を踏むことで、スキルが培われることが推測されます。憂うつだからと、コミュニケーションを断つのではなく、無理のない範囲でコミュニケーションを取ることで、自分と異なる価値観やものの考え方を知り、世界を広げることにもつながります。
■まとめ
コミュニケーションは、私たちの生活に欠かせないものです。生活全体の満足度、ひいては人生の充実度や幸福度にも影響を与えます。本調査の第1報から第3報までを通じて、満足できるコミュニケーションをとるための秘訣があきらかになりました。
第1に、「リアルなコミュニケーション」を意識することです。直接会って話す等のリアルなコミュニケーションの量を適切に増やし、知り合いや友人を増やし、広がりのある人間関係を作りましょう。第2に、「憂うつな相手とのコミュニケーション」にも無理のない範囲でトライすることです。自分と違う価値観に触れ、世界を広げましょう。自分自身も憂うつな相手になっている可能性を考え、相手への配慮を忘れないようにしましょう。第3に、「コミュニケーションスキル」を高めることです。失敗を恐れず、コミュニケーションの場数を踏みましょう。コミュニケーションスキルを高め、正のコミュニケーションサイクルに乗りましょう。
自分のコミュニケーションは、自分でデザインすることができます。あきらめずに一歩を踏み出すことで、理想の形に近づけることができるのです。コミュニケーションの楽しさを感じつつ、スキルを伸ばし、新しい世界にも触れることが大切です。楽しさだけでなく、成長の実感があること、さらに、自分のコミュニケーションを自分でデザインしているというコントロール感があることが、人生の充実度や幸福度を高めます。
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<調査概要>
調査方法:インターネットリサーチ
調査期間:2017年10月3日~10月4日
調査地域:全国
調査対象者:以下の対象者を抽出。
①大学生:男女18~29歳の大学生・専門学校生・短大生
②会社員:男女18~59歳のフルタイムで働いている方
③主婦:女性18~59歳の専業主婦、有職主婦(パート、アルバイト)
④リタイア層:男女60歳以上で、夫婦ともに(未婚の場合はご自身が)働いていない方
有効回答数:2,060サンプル(大学生、会社員、主婦、リタイア層 各515サンプル)
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◆関連リンク
コミュニケーション総合調査<第1報>「2017年の満足度と2018年への期待」
2017年度「楽しくコミュニケーションできた」のは全体の55%。
「リアルコミュニケーション」が楽しさのカギ。
コミュニケーション総合調査<第2報>「憂うつなコミュニケーション、楽しいコミュニケーション」
憂うつなコミュニケーション、相手は「先生」「上司」「義父母」「ご近所」
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<本調査に関するお問い合わせ先>
JTBコミュニケーションデザイン 営業企画部 営業企画局 TEL:03-5657-0603